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移動平均線はテクニカルの基本
過去の価格推移を映し出す移動平均線(MA)は世界中のトレーダーが表示する最もメジャーなインジケーターです。
MetaTraderや各証券会社のアプリでも初期設定で5日や10日のMAが表示されているように、テクニカル解析の基本中の基本と言えるでしょう。
この記事では移動平均線を使ったトレードの基本的な考え方に関してまとめました。
移動平均線の性質
非常にざっくり言うと、移動平均線より上にロウソク足があればロングを入れて含み益の人とショートを入れて含み損の人が多く、移動平均線より下にロウソク足があるとその逆になります。
画像はドル円(USDJPY)の1時間足で、赤が21EMA、オレンジが90EMA、水色が200EMAです。
一度上に抜けた移動平均線にロウソク足が再度近づくと、ショートの含み損の人の損切りや同値撤退の買い注文が入りやすく、価格が上昇していることが分かります。
21EMAと90EMAなど、期間の違う移動平均線が重なるポイントではより多くの人の買い注文が入りやすくなるので、サポートとして機能しやすくなります。
こちらもドル円の1時間足ですが、ロウソク足が200EMAより下にあり、200EMAに当たった時に反落しています。
その後21EMAが90EMAを追い越していったことにより含み損のショーターが多くなり、相場が反転をしました。
単純にロングやショートを打つ時の目安になりやすい
上記の特徴を意識しなくとも、単純に移動平均線をサポートやレジスタンスと見なして取引をする人も多いので、最も意識されるテクニカルと言うことになります。
為替で使うのは基本的にEMA、特に21EMAは外せない
EMAとSMAの違い
EMAは直近の動きを重視した移動平均線で、SMAは全期間の動きを均一に取り入れた移動平均線です。
EMAとSMAのどちらを使うかは好みが別れるところですが、ここ1年ほどの為替FXのチャートではEMAの方が機能していると感じることが多いですね。
トレーダーの方もEMAがメインの方が多い印象。
為替FXのポジション/エントリーを公開している日本人Twitterアカウント
21EMAは重要
EMAの日数に関しては21EMA(20~25EMA)だけは必ず表示しておきましょう。
フィボナッチ数(21.6)であり、1ヶ月の平日の平均日数(為替FXが開場している日数)であり、何よりも機関投資家も表示していることが多いと言われています。
短期足から長期足まで、非常に意識されやすい日数です。
21EMAより少ない日数は初動を捉えるのに使うこともありますが、信頼性の面から言うと表示しなくても問題はないでしょう。
中期は75~100、長期は200が基本
21EMAの次に表示しておきたいEMAの日数は75~100あたりです。
75, 90, 100のいずれかを採用する人が多いですが、このあたりの数字だとそこそこ信頼性があるのでどれを使っても大きな差はありません。
15分足以上、75EMA以上はかなり機能するテクニカルなので、迷った場合は75EMAで問題ないと思います。
フィボナッチ数の61.8から62EMAを採用する人も。
長期MAではSMAも使える
100日や200日などの長期移動平均線はEMAとSMAを併用している人も多く、1分足や5分足などの短い時間足で200SMAが100SMAをクロスすると相場の転換を迎えることがあります。
画像は水色が100SMA、青色が200SMAです。
どちらもポンドドル(GBPUSD)の5分足ですが、100SMAと200SMAのゴールデンクロス/デッドクロス後に勢いよく動いています。
下手なテクニカルを覚えるくらいなら5分足の100SMAと200SMAだけ見てトレードをしていた方がいい結果になるでしょう。
ショートもロングも基本的に移動平均線がクロスしてからエントリーを考える
天井ショートや底ロングを取ることを考えると簡単に担がれてしまうのがFXです。
最低でも1分足で21EMAが中期EMAをクロスしてサポートやレジスタンスになっていることを確認してからエントリーを考えるようにしてください。
画像はポンドドル(GBPUSD)の1分足で赤い21EMAが黄色の75EMAと水色の200EMAを下から上へクロスしていった時の値動きです。
その後再度上から下へクロスしそうになっていますが、持ちこたえて再上昇しました。
ポンドやゴールド(XAUUSD)のように値動きの大きい通貨だと1分足のクロスでも大きく価格が動く場合があります。
損切りラインはショートの場合は直近高値から15pips、ロングの場合は直近安値から15pipsほどに置いておくとストップ刈りにあう可能性を減らせます。
移動平均線を使った逆張りだけでも十分に勝てる
レンジ相場には手出しをせず、大きな値動きがあったあとに移動平均線のクロスを見て反対方向にエントリーをする方法は比較的ローリスクです。
例えば24時間以内に100pips以上の上昇があった後、もう一段上がるよりは下がる可能性の方が高いので、そう言った場面で移動平均線のデッドクロス(短期戦が中期線をクロスする)を待ってエントリーするのは良いエントリー手段となります。
2018年の10月以降はニュージードル(NZDUSD)、ドルカナダ(USDCAD)などで二段階の上昇も見られましたが、そう言った非常に強い相場の場合は素直に損切りをしておきましょう。
エントリー時には通貨ペアごとの運動量限界を考慮する
ドル円などレンジになりやすい通貨ペアは24時間以内に70~80pipsほど上昇または下降をしたら逆方向へのエントリーを考えます。
ポンドやユーロなどの欧州通貨ペアは24時間以内に100pips以上動くことも珍しくないですが、150pips以上動くことは少ないので、100pips以上動いたら反対方向へのエントリーを考えましょう。
いずれの場合も必ず移動平均線のクロスを見てからのエントリーが望ましいですが、15分足以上で、21EMAから30pips以上価格が離れると一旦は21EMAに価格が近づく傾向が見られます。
画像はポンドドル(GBPUSD)の15分足ですが、極端な上昇時を除いて21EMAから30pipsほど離れると調整の下落をしていることが分かります。
ゴールド(XAUUSD)や原油(WTIUSD)などの極端にボラティリティの高い金融商品には必ずしも当てはまらない場合もありますが、為替FXでは比較的機能しやすい逆張り手法です。
MT4/MT5アプリでのEMAの表示方法
- チャート画面からfマークをタップ
- 『メインチャート』の横のfマークをタップ
- 『Moving Average』をタップ
- 『期間』、『メソッド』を選択して『完了』をタップ
シンプルがSMA、指数加重がEMAです。
色に関しては200日に関しては水色や青を採用する人が多い傾向にあります。
短期はMetaTraderの初期設定が赤なのでそのまま使うのも良いでしょう。
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